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SMF Creative Session 2026『北海道で、クリエイターとして生きる。』レポート

2026年3月31日、札幌メディア・アート・フォーラム(SMF)実行委員会主催のトークイベント「SMF Creative Session 2026『北海道で、クリエイターとして生きる。』〜地域を動かす“仕事”と“働き方”〜」が開催されました。
本イベントでは、地域でのクリエイターとしての働き方やキャリアの築き方をテーマに議論が行われ、学生・社会人あわせて32名の皆さまにご参加いただきました。

札幌メディア・アート・フォーラム(SMF)とは?
産学官の活動体として、情報文化学会北海道支部、行政(札幌市)、関連教育機関、現場のクリエイター、関連企業などと連携をとりながら、メディア・アート・デザインおよび産業の高度化、活性化に寄与する活動を展開しています。
地域における「クリエイティブ」の本質
講師には、一般社団法人ドット道東 代表理事の中西拓郎さんと、株式会社北映Northern Films ディレクター/デザイナーの岸竜之介さん(オンライン参加)をお迎えしました。
デザインやライティングなどのスキルを武器に、北海道というフィールドで自分らしく生きていくための「生存戦略」と「仕事のつくり方」についてトークが展開されました。
Session1 地域を動かす「クリエイティブの再定義」
中西さんからは、北海道の可能性と地域側が求める「機能」をテーマに、経営者・地域プロデューサーとしてのマクロな視点からお話しいただきました。
クリエイティブは課題解決の「手段」である
地域が抱える構造的な課題に対し、クリエイティブは目的ではなく「手段」であり、大切なのは「どう生きたいのか」というライフデザインであると、中西さん。
地域における人材不足や受け入れ環境の現状に触れながら、エンドユーザーの顔が見える仕事の面白さや、地域において求められる役割について、実体験をもとに共有いただきました。

Session2 地方×若手クリエイターの「生存戦略とキャリア」
岸さんからは、ゼロからキャリアを築いてきた経験や、AI時代における技術の捉え方について、現場クリエイターとしての視点で語られました。
デザイン+αの総合力と、多様な視野・視点
地方で働く際のハードルに対し、どのような努力や取組を行ってきたのか。
「農作業の手伝い」から地域に関わりをもった経験や、自ら学びを補う姿勢の重要性についても述べられました。
また、デザインスキルに加えて、営業や交渉といった“副次的スキル”の必要性についてもお話いただきました。

Session3 クロストーク「これからの北海道で、どう生きていくか」
クロストークでは、お二人に加え、SMF運営委員・北海道情報大学(情報メディア学部)講師の杉澤 愛美さんも参加し、地域と都市の働き方の違いや、これから求められる人材像について議論が行われました。


地方で活躍するためには、スキルだけではなく人間力を磨き続けることが重要であり、人との関係性の中から新たな仕事が生まれる可能性もある、と岸さん。
泥臭い人間関係がクリエイティブな仕事に変わる瞬間もあるとのこと。
中西さんからは、人口減少下においても持続可能な暮らしを実現するためには、地域単位での活動が有効な手段となり得るとの示唆がありました。
一般社団法人ドット道東が手がける道東のアンオフィシャルガイドブック『.doto』は、地元の人が道東を自慢したくなるガイドブックとして関心を集めました。
さらに、情報の集め方と制作の過程が評価され、全国のタウン誌・WEB・動画などあらゆるコンテンツを表彰するアワード「日本地域コンテンツ大賞」にて「地方創生部門最優秀賞(内閣府地方創生推進事務局長賞)」を受賞しました。
ブレずに道東をPRし続けるこのガイドブックは、台湾でも翻訳版が発行されるなど、地域に根ざした活動が国内外から注目を集めています。
地域で「生き残る」ということ
地域で勝つこと(スキルの誇示)と、地域で生き残ること(信頼の構築)は別物であるとのこと。
地域のニーズを理解し、自分の価値をどのように活かしていくかを考え続けることが、クリエイターとしての持続的な活動につながります。
「地方の課題は未来の都市の課題」
人口減少や高齢化による担い手不足は、地方に限らず全国的な課題です。札幌市においても同様に、変化の激しい社会の中で多くの課題に直面しています。
こうした課題の解決において、クリエイティブの力はこれまで以上に、企業や地域社会に求められています。


地域の課題解決はクリエイターだけに委ねられるものではなく、生活者一人ひとりが課題を自分ごととして捉え、行動していくことが重要です。
参加者からは、「地方での働き方のイメージが具体的になった」「キャリアを考える上で参考になった」といった声も聞かれました。
これから社会へ羽ばたく学生の皆さんはもちろん、社会人にとっても、登壇者の実体験から多くのヒントを得られる機会となりました。
本イベントが、参加者の皆さまの今後の活動やキャリア形成の一助となれば幸いです。
当財団では、クリエイティブ産業の振興を目的に、さまざまな支援や活動を行っています。学生の皆さまだけでなく、企業の方々にもご活用いただける支援メニューをご用意しておりますので、ぜひ当課のホームページやInstagramをご覧ください。